本連載は、セレッソ大阪のことを一人でも多くの方に知って頂き、クラブと共に夢を目指す“セレッソファミリー”としてお迎えしたいとの想いのもと、これまでの活動事例を交えながら、我々が考えるクラブとスポンサー様との理想のあり方について、全6回のシリーズ形式にてお届けいたします。
第3回は、「企業はどのようにスポンサーシップを活用すれば良いか?」について、読者の皆様により理解を深めて頂けるよう、これまでセレッソ大阪がスポンサー様と取り組んできた代表的な事例をご紹介いたします。
一つ目は、プラチナパートナーであるシャープ株式会社様(以下、シャープ)の事例です。当初、シャープがセレッソ大阪とパートナー契約を締結した目的は2つあり、セレッソ大阪のファン・サポーターに向けた自社製品のプロモーション、そして、未来のお客様となり得る“シャープファン”を作ることでした。
(セレッソ大阪の選手がシャープ製品を説明する動画)
そのような目的に対して、セレッソ大阪では、クラブ所属選手による『選手がシャープの家電を使ってみた』というPR動画を制作し、クラブ公式YouTubeチャンネルなどで配信しました。選手が自宅で実際に家電製品を使う様子は、ファン・サポーターにとっても普段みることができない貴重な姿であり、商品の認知度向上はもとより、人気の高い選手を活用することで、ファン・サポーターからシャープ製品への愛着を深めるという効果も生まれました。
(セレッソ大阪とのコラボグッズが当たるキャンペーンを実施)
また、上記PR動画作成に加え、シャープ製品購入者にサイングッズやオリジナルセレッソコラボグッズが当たるキャンペーンを実施しました。ここでしか手に入らないオリジナルトレーディングカードやタオルマフラー、選手の集合写真など、ファン・サポーターにとって嬉しい特典を用意することで、キャンペーン開始初日から申込が殺到し、売り上げアップに繋げることができました。尚、このキャンペーンはファン・サポーターに大変好評であり、2018年から毎年行われています。
(ホームゲーム開催日に特別ブースを設置し、ファンサポーターとのコミュニケーションを図る)
最後に、未来のシャープファン(お客様)を作るというニーズにお応えするため、ホームゲーム開催日に特別ブースをスタジアム入口に設置し、ブース来場者を対象にセレッソ特製シールやオリジナルグッズをプレゼントしました。また、コロナ禍においてオフラインでのPR活動が困難になった後は、「そうなんだ!シャープクイズ」と題したオンライン企画を実施するなど、環境の変化にも柔軟に対応し、どうすればスポンサー様にメリットを感じて頂けるかを常に考えながら、継続的に取組を行っています。
二つ目は、オフィシャルスポンサーであるakippa株式会社様(以下、akippa)の事例です。akippaは、駐車場のシェアリングサービスを全国で展開しているITベンチャー企業で、本サービスのユーザーは安く駐車場を予約できる一方、オーナーは空きスペースを有効活用して収入を得ることができるというメリットがあります。
(akippaが提供する駐車場のシェアリングサービスの概要)
当時、akippaは自社独自でPR活動を行っていたものの、設立間もない企業だったこともあり、世間での認知度が思うように伸びず、もっとユーザー数を増やしたいという課題がありました。通常、このような場合は、認知度向上に資する取組としてクラブを通じた広告宣伝活動を行うのが一般的ですが、セレッソ大阪でも、ホームゲームの開催時にスタジアム周辺の駐車場を十分に提供できず、アクセス手段として公共交通機関しか推奨することができないという課題を抱えていたため、「セレッソ大阪がakippaを利用すれば、ファン・サポーターも含めた三者がwin-win-winの関係となり、スポンサーメリットを極大化できるのではないか」と発想し、両社の提携に至ることとなりました。
(スタジアム周辺でakippaアプリから事前予約できる駐車場)
本提携によって、akippaはセレッソ大阪のファンに対して直接的にサービスを提供することが可能となり、目に見える形で多くのユーザーを獲得することができた一方、セレッソ大阪にとっても、スタジアム周辺の駐車場を効率的に活用できることとなり、ファン・サポーターの利便性改善に繋がりました。
また、本事例は過去に例の無い取組として日本のスポーツ業界内でも注目を浴び、セレッソ大阪との提携を契機として、akippaは他のJクラブやプロ野球チーム、プロバスケットボールチームと次々に契約を締結し、現在では実に約20チームにおいてakippaのサービスが利用されています。
(akippaが連携しているJリーグチームとコロナ禍での交通分散を目的にPJを実施)
当初は認知度向上が目的でありながら、結果的に当社の事業発展を加速化させる大きな成果を生む取組となり、当社・金谷社長から「セレッソ大阪のスポンサーをしたことで思いがけないビジネス拡大に繋がった」と感謝のお言葉を頂戴し、セレッソ大阪にとってもスポンサー様の期待を超えることができたシンボリックな事例となりました。
三つ目は、オフィシャルスポンサーである株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング様(以下、CRTM)の事例です。CRTMは2007年の会社設立以降、業績の拡大とともに従業員も増えていく中、従業員のロイヤリティや満足度を高めることでリテンション(人材維持)を図りたいとのニーズがありました。そこでセレッソ大阪では、クラブを通じた情報は発信によるブランディングに加え、CRTMを冠スポンサーとしたサポーティングマッチを開催しました。
(キックインセレモニーの様子)
2019年9月、ヤンマースタジアム長居で開催したサポーティングマッチでは、約3万7000人の観衆の目の前でCRTMの従業員やそのお子さまが、試合直前のイベントであるキックインセレモニーや選手への花束贈呈、エスコートキッズなどを務めました。また、同マッチには内定者の方々もご招待し、CRTM関係者の皆様に楽しんでいただくことができました。
(ファンサポーターからCRTMに送られたメッセージ幕)
また、キックオフ前にはCRTMの社長にファン・サポーターへご挨拶いただき、「同じ大阪を拠点とする企業として、セレッソを応援することを通じ地域を活性化し、府民の方々の生活を豊かにしていきたい」という協賛への想いをお話しいただきました。CRTMが冠スポンサーとなる初めてのサポーティングマッチだったこともあり、ゴール裏のサポーターからは、『CRTM様ありがとう。末永く宜しくお願いします』という横断幕が掲げられ、これには参加されたCRTMの皆様も大変感動されていました。
(当日のイベントにご参加いただいた方のアンケート内容)
尚、後日サポーティングマッチにご参加いただいた従業員の皆様のアンケート結果では、「CRTMで働くことに、より誇りを持てるようになった」と77%が回答。また、内定者の86%が、「CRTMの取り組みに満足」と回答し、中には「セレッソ大阪のスポンサーをしていることが、内定先を選ぶ時の一つの決め手になった」という声もあるなど、CRTMの従業員満足度向上や自社のイメージアップといった課題解決に貢献することができました。
以上、これまでセレッソ大阪がスポンサー様と取り組んできた代表的な事例を3つご紹介させて頂きましたが、本稿で取り上げた事例以外にも、セレッソ大阪では各スポンサー様のニーズに合わせて様々な取組を行っております。「クラブの強みを活かしスポンサー様に最大限の価値をご提供する」という強い責任感のもと、日々新しい取組にチャレンジしていますので、先ずはお気軽にご相談ください。
※第4回は、「他クラブには無いセレッソ大阪の強みとは?」についてご紹介いたします。